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2018/03/21

オランダの与作かな?

日本では、アムステルダムというタイトルで呼ばれている歌です。
オリジナルはLe Port d'Amsterdam (アムステルダムの港 )。

180316-amsterdam

Jacques Brel 
フランスでは、誰もが知っているシンガーソングライターでした。
49歳で亡くなっています。死亡原因は肺がんだとのこと。
タバコの吸い過ぎには気をつけましょう。

180316-amsterdam 2

1964年のオリンピア劇場での公演の後
ライブアルバム 【 Enregistrement Public à l'Olympia 1964 】 が作られました。
おかげで我々は今も聞くことが出来るのです。
ビデオでの映像が残されるようになったのも、その頃からなのでしょうね。

さて、この歌ですが、前回書きましたように、私は意味がよく分かりませんでした。
お師匠に、何度か訊ねて、やっと自分なりに、内容がつかめたような気がします。
私なりにですので、ここは違うぞと思われても、笑ってやってください。

その結果、思ったのが 「アムステルダムは、オランダの与作ではないのか?」と。

「与作」、若い人は知らないかも知れませんが (まあ、このブログを若い人は見ないでしょうし・・・)
北島三郎さんが歌っている
♪ 与作は木を切る~、 ヘイヘイホー、ヘイヘイホー ♪
あの歌です。

この歌詞の意味をと言われて、外国語に直しても、きっと 「それが何なの?」と言われそうです。
山奥に住む木こりの1日を、ただ歌っているだけです。
でも、日本人には、その哀調を帯びたメロディーと歌詞で、なんとなく分かりますよね。
彼は、自分の仕事に誇りを持っている。
妻を愛している。
日々の暮らしを愛しんでいる。
身体に染みついた日本の感性が伝わります。

私は、アムステルダムにも、似た感じを覚えました。
アムステルダムは、北の海に面する港町で生きる酔っ払いの船乗りの歌です。
飲んだくれて、酒場の女と夜明けまで踊り狂って、酔い覚めには、河(または海)に向かって小便をする。
そんな歌なのですが、彼らが、自分の仕事、生き方に誇りを持って生きてるのが伝わります。

décroisser という動詞は、辞書を探しても存在しないのですが、自然に意味が伝わるらしいです。
la lune(月)= クロワッサン(三日月)を引き裂く。 
décroisser la lune これも、ブレルの言葉遊びなのです。

と言うわけで、また拙い対訳をしてみました。



Le Port d'Amsterdam  
  アムステルダムの港
   
Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui chantent
Les rêves qui les hantent
Au large d'Amsterdam

アムステルダムの港には
歌っている水夫がいる
とりつかれた夢を、アムステルダムの沖で


Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui dorment
Comme des oriflammes
Le long des berges mornes

アムステルダムの港には
眠っている水夫がいる
陰気な土手沿いに、まるで旗のようになって


180321-p01
oriflamme とは、こんな旗です。
土手に水夫がドテーと倒れ込んだら、この旗のように見えます。

Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui meurent
Pleins de bière et de drames
Aux premières lueurs

アムステルダムの港には
死んだようにぶっ倒れている(←死んでいる) 水夫がいる
ビールとドラムのどんちゃん騒ぎで
夜明けの光が差し染めるまで


Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui naissent
Dans la chaleur épaisse
Des langueurs océanes

アムステルダムの港には
元気いっぱいの水夫もいる
海のけだるさから来る重苦しい暑さの中でも


Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui mangent
Sur des nappes trop blanches
Des poissons ruisselants

アムステルダムの港には
食べている水夫がいる
真っ白なナプキンの上で、汁が垂れる魚を


Ils vous montrent des dents
A croquer la fortune
A décroisser la lune
A bouffer des haubans

彼らは歯を見せて (歯をむき出してガツガツ食べるのは上品ではない)
運(または財産)をガリガリかじり
月を食いちぎり
舟の綱まで食っちまう


180321-p03
haubanは舟の索具で、この部分の綱のようです。

Et ça sent la morue
Jusque dans le cœur des frites
Que leurs grosses mains invitent
A revenir en plus

そして、フライドポテトの芯まで
鱈の匂いを感じるそれ(料理)を
彼らの大きな手で呼びつける
もっとそれを持ってこいと


Puis se lèvent en riant
Dans un bruit de tempête
Referment leur braguette
Et sortent en rotant

次に、笑いながら立ち上がり
大音響を立てて (おならの音をさせて)
ズボンのチャックを閉め
ゲップをしながら出ていく


Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui dansent
En se frottant la panse
Sur la panse des femmes

アムステルダムの港には 踊る水夫がいる
女たちの丸い腹に太鼓腹をこすり付けながら


Et ils tournent et ils dansent
Comme des soleils crachés
Dans le son déchiré
D'un accordéon rance

そして、彼等は回り踊る、
車花火(クラッシュする太陽)のように
おんぼろアコーデオンのきしむ音の中で


180321-p04
ネットで見つけた画像をお借りしました

Ils se tordent le cou
Pour mieux s'entendre rire
Jusqu'à ce que tout à coup
L'accordéon expire

彼等は首をねじる
笑い声をもっと良く聞くために
突然アコーデオンの音が絶えるまで


Alors le geste grave
Alors le regard fier
Ils ramènent leur batave
Jusqu'en pleine lumière

もったいぶった仕草で
傲慢な目つきで
彼らは連れのオランダ女(バタビア女)を
明るい場所に連れ出す

語彙の欄で、バタビア共和国の説明をしています。

Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui boivent
Et qui boivent et reboivent
Et qui reboivent encore

アムステルダムの港には
酒を呑む水夫たちがいる
呑んで呑んで、さらに呑み続ける


Ils boivent à la santé
Des putains d'Amsterdam
De Hambourg ou d'ailleurs
Enfin ils boivent aux dames


彼らはアムステルダムの、ハンブルグ
そして、その他の場所の娼婦達の健康を祝し酒を呑む
結局、彼等は女達の(健康を祝する)ために呑む


Qui leur donnent leur joli corps
Qui leur donnent leur vertu
Pour une pièce en or

彼女たちのきれいな体を彼らに与えてくれる
彼女たちの操を彼らに捧げてくれる
一枚の金貨のために


Et quand ils ont bien bu
Se plantent le nez au ciel
Se mouchent dans les étoiles

そしてたっぷり飲んだ後、
空に向かって(←天にむかって鼻を突き出す)
手鼻をかむ (← 星空のなかで洟をかむ)


Et ils pissent comme je pleure
Sur les femmes infidèles

そして、彼らは小便をする
移り気な女達の上で俺が泣くかのように


Dans le port d'Amsterdam
Dans le port d'Amsterdam

アムステルダムの港では
アムステルダムの港では


いろいろな人がカバーしていますが

イザベル・ブーレがアカペラで歌っています。

 




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語彙

hanter 妄念などがつきまとう、 
oriflamme(旗、のぼり) berge(土手) 
morne 陰鬱な 、 lueur ほのかな光 、épais部厚い
langueurけだるい 、ruisselant したたり落ちる
croquerカリカリ囓る、
décroisser  三日月を食いちぎる (ブレルの造語)
bouffer食べる、
hauban ヨットのワイヤーロープ
morue真タラ、 en riant 笑いながら(rire)
tempête 嵐 (嵐のような)大音響 
pet「屁」、péter「おならをする」 tempêteとpetが重なる、これも言葉遊びでしょう
refermer 閉じる 、braguette ズボンの前開き
en rotant ゲップをしながら  roter ゲップを出す
frotterこすりつける 、 panse 太鼓腹
soleils 太陽、 (花火の)車火 = soleils crachés 火を吐く車花火 
cracher 吹き出す、唾を吐く、(ペンの)インクが飛ぶ
rance 古くなって悪臭がする
déchiré 裂けた 
expirer 息を引き取る、死ぬ、つきる、消える
batave バタビアの女
オランダ女性の意味ですが、ジプシーもそうですが、差別語として今では使われてないようです。
バタヴィア共和国、バターフ共和国(オランダ語: Bataafse Republiek、フランス語: République batave)は
1795年から1806年まで現在のオランダに存在したフランスの衛星国。
ネーデルラント連邦共和国の崩壊後に成立した。1806年にルイ・ボナパルトを国王とするホラント王国へと移行した。
    
putain 売春婦
infidèle 不誠実な、移り気な

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